協調・談合はしばしば破れる。なぜなら、建設業にとって工事入手は経営活動の絶対的な条件であり、区画が狭くかつ個数が少ないほどそれは困難な条件であるからだ。これに成功しなければ、いかに合理的な組織や高い技術をもっていても一切ははじまらず、それらは機能しない。この危険はたえずある。そして協調がかたければかたいほど、これを破りまたは守る方法は激しいものになる。その1つがいわゆるダンピング・赤字入札である。「損は入場券の代り」である。
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赤字受注の必要性と可能性にはまた別な根拠もある。しかしこれがとくに激しいものになる理由は、市場の分割と画定のかたさにある。ダンピングの実例は実に枚挙にいとまないほどあるが、36年6月三重県庁舎の新築にみられた例などは、メンバーが大手5社であり規模の大きさで注目を集めた。この入札では、大林組6億8100万円、竹中工務店7億1500万円、清水建設7億3500万円、鹿島建設8億3000万円、大成建設8億4200万円と、最高と最低では1億6000万円余りも開いた。しかも三重県が工事執行規則でとっている予定価格の60〜80%という最低制限価格にさえも、前3者の入札価格は達しなかった。そのために4番札の鹿島建設に一応落札することになった。
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