日本国憲法二九条1財産権は、これを侵してはならない。2財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。この条文と他の憲法を比較すると、世界の憲法が日本のそれよりもはるかに多くの言葉を通じて景観、風景、環境などの価値を守ろうとしていることがわかるだろう。ついで、日本国憲法が、権利についてこれを侵してはならない、というように所与のもの、つまりすでに与えられたものとして規定しているのに対して、他国の憲法が、奨励、つとめる、支援するなどのように、国民全体で、未来に向けでつくり上げるものとしている。
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さらに、文化、伝統、歴史、芸術など必ずしもその定義が明瞭でない言葉に対しても表現の自由や信教の自由といったものと同列において確定的な価値とみなしていることも強調したい。最後にまた、土地所有権もこのような価値と同列なもの、あるいは土地所有権には義務を伴う、などとして、これらの価値を守ることを土地所有権の当然の義務としている、ということがわかる。日本の憲法の絶対的土地所有権の規定だけが唯一なものではない。世界にはこれと異なるたくさんの憲法があり、また憲法があろうとなかろうと法律でこれらの価値を守ろうと努力している。世界各地にある美しい都市は、過去の遺産の上に、あるいはまったく最初からこのような都市をつくろうと憲法や法律を制定して努力してきた。だから美しいのである。日本でも憲法の中にこのような「美しい都市をつくる権利」を定め、現在の都市計画法や建築基準法を廃止し、まったく新しい都市法を制定する目標を持って、いまこそ私たちは意志とエネルギーをふるい起こさなければならない。国家高権の理論も超高層ビルも、その努力によってはじめて倒すことができるのである。
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