格子がうまくできれば、環境を修復する道が開けるかもしれない。低予算という制約条件がなかったら、グラデーションなどという発想には到達しなかっただろう。高価なガラスを多用して、透明なガラス壁と石とを組み合わせて美しいコントラストを作るという誘惑に、簡単に屈服していたかもしれない。予算が厳しかったからこそ、他業種には発注しないで、自分の山のタダの芦野石、自分の家のタダの職人さんだけでなんとかやりたいというSさんのつぶやきが、グラデーションの手法を生んだのである。
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グラデーションで切断を修復するという、大きな展開へと育ったのである。制約は母である。制約からすべてが生まれる。そして自然とは、制約の別名である。きっかけは「石の美術館」だった。高根沢町は宇都宮の北隣りで、「石の美術館」の建つ芦野の里からそう遠くはない。高根沢町長が「石の美術館」を訪れて、その空気感を気に入った。自分の町の宝積寺駅前にも古い石蔵があって、あんな形で再利用できないだろうかというところから、話かはじまった。駅の東側に、石蔵は三つたっていた。この東口というところが問題で、東北線沿線は西風が強く、かつて蒸気機関車の煙は東に向かって流れ、その結果、駅の東口には人があまり住まず、駅の正面はきまって西口で、東は裏であった。宝積寺駅も東は閉じていて、石蔵が三つ放置されていた。機関車も走らなくなって久しく、東口をなんとかしようとした時、町長さんはその捨てられていた石蔵に目をつけたのである。
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