ぼくの設計した中で多いのは、オーディオに凝っている男性のためのリスニング・ルームである。リスニング・ルームといっても、たいていは、本格的な音響効果を狙うだけの費用はかけられない。普通の住宅のリスニング・ルームの眼目は内部の音響効果よりも、家族に気がねなく大音響が出せるための遮音性であろう。そのためにサッシュを二重にし、出入口の扉にパッキングを入れる程度の配慮はする。幸いなことに、オーディオ・ファンという人種は、かなり音にうるさいマニアの場合でも、設計者が遮音性だけ確保しておくと、音響効果については、部屋の主の方であれこれと工夫を楽しんでくれる。
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リスニング・ルーム的「男の部屋」をつくるための難関は、音のためにどうしてもある程度の広さか必要なので、三畳や四畳半というわけにはいかないことだ。ぼくが設計した家の中には御亭主専用のリスニング・ルームを、応接間ならびに子どものピアノ練習室と兼用することで面積を確保している例もある。しかし、男が自分の部屋を必要とする心情の中には、そこを他の家族が入れない聖域としたい気持が含まれていることが多く、こうした兼用性はやむを得ぬ現実的妥協とも考えられる。
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